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エリートパニックは続行中

■なぜ災害が起きるとエリートはパニックを起こすのか

災害社会学者キャスリーン・ティアニーは主に公的機関や、通常、一定の権力を行使できる立場にいる人々が災害時には往々にしてパニックに陥る例が多くみられることから、そのような行動を「エリートパニック」という語を用いて表現した。エリートパニックとは「社会的混乱に対する恐怖、貧乏人やマイノリティや移民に対する恐怖、火事場泥棒や窃盗に対する強迫観念、すぐに致死的手段に訴える性向、噂をもとに起こすアクション」(P172) で、この「エリートパニック」は例えば1906年のサンフランシスコ大地震時に市長や軍の一部指導者による市民の銃撃指示、関東大震災時に行われた大杉栄殺害事件や朝鮮人襲撃、ニカラグアのマナグア地震時の独裁政権による略奪・暴行、ハリケーンカトリーナの際のニューオリンズで見られた黒人差別や貧困層が避難した避難場所の隔離政策、などなど過去の様々な災害時に数多く見られた。

ラトガース大学教授リー・クラークはエリートパニックのユニークさをこう語っている。

エリートパニックがユニークなのは、それが一般の人々がパニックになると思って引き起こされている点です。ただ、彼らがパニックになることは、わたしたちがパニックになるより、ただ単にもっと重大です。なぜなら、彼らには権力があり、より大きな影響を与えられる地位にあるからです。彼らは立場を使って情報資源を操れるので、その手の内を明かさないでいることもできる。それは統治に対する非常に家父長的な姿勢です。

(中略)

わたしたちの定義するエリートパニックでは、一般的なパニックと同じく、社会的絆の分断が起きます。エリートパニックの場合、わたしたちより高い地位にある人々の間でこれが起きるのです……社会的絆がいくぶん破綻した結果、エリートの座にいる人々が大きな危険を生み出す何かをするのです。

つまり、"エリートは人々がパニックになるのではないかと恐れるがあまりパニックになる"という笑うに笑えない状況が災害時に多く見られ、上記の例の様に市民に銃を向けたり、あるいは情報を隠蔽して人々を危険にさらすことがあるという。スリーマイル島原子力発電所事故の際には市民は大した混乱もなく十五万人が自主的な避難を行ったが、知事が避難命令を行ったのは「原子炉底部の半分がメルトダウンし、閉じ込め機能が破られる」三十分前で、住民がパニックになることを怖れる余り、情報公開を遅れさせ、人々が危険な状態におかれたという。

このような人々が秩序から放たれた時にパニックになるという理解はホッブスの自然状態における万人に対する闘争という政治哲学に由来している。19世紀には社会心理学者ギュスターヴ・ル・ボンが著書「群集心理」で、個人は群衆の中で本能のままに行動する野蛮人に似る傾向があると分析したことで、知識人の間で秩序が無くなれば人々はパニックになるという理解が広がった。

このような「パニック神話」を元に第二次世界大戦では民衆に対する無差別爆撃が各国で計画・実行に移されたがロンドンでもドイツでも日本でも大空襲の最中で人々はパニックを起こさず恐怖の中でも冷静に行動し、さらにお互いに助け合う様子が見られたという。そしてそのパニックにならずに耐え忍ぶ姿はロンドンではイギリス人の美徳として、ドイツではドイツ民族の不屈の精神として、日本でも同様に日本人の美徳として称揚され、それぞれ国威高揚に用いられたが、実のところ民族性など関係なく普遍的に見られる現象であったことが明らかになっている。

エリートたちが所属する官僚機構や大規模な組織、既存の権力構造はペーパーワークと分業体制に依存しており、それは通常時であれば現代社会を円滑に運営するための必須の体制だが、非常時にはそれが最大のネックになることが多い。

「役所仕事は決まりきった手順やスケジュール、ペーパーワークに依存している。実際、現代社会は、正しく行われればだが、役所仕事なしでは立ちゆかない。唯一の問題は、革新的な考えやいつもとは違うやり方が必要な非常時には、お役所的な組織が最大のネックになりうるということだ。事実、通常時にうまく機能していればいるほど、災害時には、臨機応変に対応できなかったり、まとまらなかったりと、うまくいかなくなる可能性が高い。対照的に、あらゆる社会について言えることだが、人間は普段見せない能力を発揮する。言っておくが、すべての人がそうだと言っているわけではない。ちょうど、すべての組織がまずい対応をするわけではないように。しかし、人間についていえば、彼らは危急に対してうまく対応するのに、組織はある意味、壊れてしまう」

ここで言われるエリートと呼ばれる人々は、基本的に現行の社会秩序を維持し、その上に権力を行使する立場の人々であり、それゆえに「エリートは社会的秩序の崩壊と、自分たちの正当性に対する挑戦をを恐れる」(P206)傾向がある。そして災害はまさにその両者が同時に襲い掛かってくる現象であり、非日常的な状況に追いやられることで、上記のような「パニック神話」を心理的背景に、エリートこそパニックに陥りやすい、ということのようだ。


福一4号機が倒壊の危機に瀕している。この燃料プールが倒壊すると、火災大爆発を起こし、日本中が汚染され、海外まで被害が及ぶ。だが日本メディアは伝えようとしない。議員の連中はこの危機を認識しているのだろうか。自然エネルギー・脱原発も大事だが、まずは燃料プールをなんとかしなくてはいけない。福一はまだまだ危険な状態にあることを認識してほしい。

http://kobajun.chips.jp/?p=2724
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